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てぃくる 332 薄紅の泡 [てぃくる]



泡が弾ける寸前に美しく色付く。
それは虚しくないか?

「いいえ。命を懸けた恋というのは、そういうものですから」




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(サルスベリ)




水泡に帰す。
何もかもが無駄になってしまうことのたとえ。

しかし。
多くの人は、最後の『無駄になったという事実』しか見ない。

弾け消える寸前の泡が、どれほど美しいかを。
……見ない。






  泡一つ出て空蝉しつかりと








Bubbling by Aswad



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てぃくる 331 恋の炎 [てぃくる]


 湧き上がる想いがそのまま炎と化し、この身を灼き尽くしてしまえばどれほどいいかと。
 人魚姫はそう嘆いた。

 身を捨てれば、想いしか残らない。
 諦めれば、想いすら残せない。

 ああ、わたしは。
 どうしたらよいのだろう?



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(グロリオサ)





 人魚姫の嘆きをじっと聞き続けていたオババは、手にしていた杖で床をこつこつと突いた。

「そうだねえ。おまえの想いを炎に変えることはたやすいよ。でも、それじゃあ、焼き人魚が一匹出来るだけだ。しかも、下半分しか売り物にならん」




(^^;;






 恋は盲目。周囲が見えなくなることは珍しくありません。
 当然、そこにはいっぱい隙が出来るわけで。
 それに乗じておぜぜを巻き上げようという商売が、山のように生まれるわけです。


 好きがいっぱい……はいいんですが、隙がいっぱいには、どうかご用心を。






  夏の日や恋の炎の目くらまし








Mermaid by Train



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てぃくる 330 晴雨 [てぃくる]


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晴れてからするつもりなので、雨が降ってる間は絶対にしない。

晴れていれば難なく出来ることが、雨が降ると何も出来なくなる。

晴れていた時にはしようと思ったけど、雨が降ったらしようと思わなくなる。

晴れた時にしていることは、雨が降ってもしなくてはならない。

晴れていたらやろうとしたことを、雨が降ってからしょうがなくやった。

晴れた時にすることと、雨が降った時にすることは違う。


晴れていてもしたくないのに、雨が降ったらますますしたくない。

晴れていた方がきっちりやれるんだけど。雨でも出来なくはない。

晴れたらやろうとずっと待っていたんだけど、雨が降ったから待つのをやめた。

晴れていたらするっていう言い訳は、雨が降ったからやらないという言い訳とは違う。

晴れたからと言って何か出来るわけでもないし、雨が降ったからと言って何か出来なくなるわけでもない。

晴れた時にしたことと、雨が降った時にしたことを比べて、思わず苦笑する。




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私たちが何をしようと、何もしなかろうと
晴れるし、雨が降る








  追憶や雷雨の奥の小引出し








We Stay Still by Roger Eno & Kate St. John

ケイト・セントジョン。ドリーム・アカデミーのメンバー
だった女性オーボエ奏者&シンガーさんです。
しっとりした歌声を聴かせてくれます。

共演しているロジャー・イーノは、ロキシーミュージック
の初期メンバーでアンビエント音楽奏者として有名なブラ
イアン・イーノの弟さんですね。



てぃくる 329 日の丸弁当 [てぃくる]




我々は日本国の衰微を目の当たりにし、
その惨状を心から憂う!






「おい、あいつはなにをがなり立ててるんだ?」

「ああ、日の丸のど真ん中が黒くなっていたらしい」
「は?」
「経費節減で、梅干しが海苔の佃煮になってたんだってさ」




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(ツブカラカサタケ)






  梅干しも沢庵も去り キャラ弁当

無季句。






Black is the Colour of Hope by Chris McDonald and Rod Da Rosa


昨年、交通事故で突如還らぬ人になったブラックこと
コリン・ヴァーンコムへのトリビュートソングですね。




てぃくる 328 赤くする、赤くなる [てぃくる]



エビやカニを赤くするにはどうすればいい?
「茹でると、赤くなるよ」

お赤飯を赤くするにはどうすればいい?
「ササゲや小豆で色出すより、食紅使った方が赤くなるね」

新生姜を赤くするにはどうすればいい?
「酢に漬けると、ほんのり赤くなるんだ」

トマトを赤くするにはどうすればいい?
「しっかりお日様に当てれば、赤くなるさ」

白バラを赤くするにはどうすればいい?」
「水に赤インクを溶かしてそこに生ければ、赤くなっちゃう」

信号を赤くするにはどうすればいい?」
「ちょっと待っていれば、勝手に赤くなる」




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(コエビソウ)





人を赤くするにはどうしたらいい?
「男なら怒らせる。女には愛の言葉をささやく。それで赤くなるよ」







  はち切れる激情のままトマト剥く









Red Barchetta by Rush



てぃくる 327 さねかずら [てぃくる]




 望ましきことはなくとも咲く花の

  俯向けどなほ見ゆるものかは




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 サネカズラ。マツブサ科のつる植物で、特に珍しくはありません。盆栽材料としてもよく見かけますし、山野の中に踏み込まなくても、市街地でも見かけたりします。

 花はご覧の通りで地味ですね。秋に実る真っ赤な果実とは好対照のお地味さなんですが、わたしはこの花の風情が大好きで、よく写真を撮ります。

 誰が見てくれるわけでもありません。薄暗い木陰にひっそりと伸ばされた蔓のところどころに。俯き加減の小さな花が、ぽつぽつと飾られています。




 嬉しいことはなにもないよ。
 でも花っていうのは、そんなことに関係なく咲くの。
 俯いていたら何も見えないだろうって?
 ううん、そんなことないよ。
 ちゃんと見える。

 ……あなたがね。







Don't Look Down by Foxtails Brigade

こういうトラッドの匂いがするものは大好物です。(^^)
地味ですけどね。



てぃくる 326 密談 [てぃくる]



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「なあ、俺たちこんなところで油売ってていいんかなあ」
「いいんちゃう? 売れる油なんかないし」

「なあ、俺たちこんなところで雨乞いしてていいんかなあ」
「いいんちゃう? ずっと雨宿りするならまず降らさないと」

「なあ、俺たちこんなところでダベってたら共謀罪になるんかなあ」
「いいんちゃう? ヒアリっていうもっと凶暴なやつが来てるから」

「なあ、俺たちこんなところで利益独占してていいんかなあ」
「いいんちゃう? このあと花ごと落ちるんだし」

「なあ、俺たちこんなところで密談してていいんかなあ」
「いいんちゃう? 密談じゃなく蜜談だから」






蜜を大量に分泌するノウゼンカズラの花。
アリだけでなく、たくさんの昆虫が蜜を目当てに訪花しますね。
もっとも、蜜に夢中の虫たちに、会話なんか交わしてる暇はないのかもしれません。






  火も虫も食ひつつ空へのうぜん花







Some Skunk Funk by Brecker Brothers

彼らの代表曲の一つですね。



てぃくる 325 えんじゅ [てぃくる]



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「ねえ、おばあちゃん、これって何の花?」

「ああ、それね。枝垂れ槐」


「ふうん、なんか地味ぃ」


「あはは。そうね。まあ、縁起物よ」


「縁起物?」


「そう。中国でも、偉い人が庭に植えたそうだよ」


「うちには、ぜんぜん関係ないじゃん」


「そうね。今は何が何でも出世しろっていう時代じゃないしね」


「こんな地味な木じゃなくて、もっときれいな花が咲く木の方がいいなー」


「あら。あんたも偉くなろうとしてるじゃないの」


「え?」


「気付かないかい?」


「……」


「偉くなるってことは、人を下敷きにするか、誰かに持ち上げてもらうってことさ。黙って偉くなれることはないね」


「それが?」


「あんたは、きれいな花かどうかってところしか見てない。この木がどうしてここにあるのか、それにどういう意味があるのか。何も考えてないでしょ?」


「……うん」


「それは、人のいいところだけちょろまかそうっていう姿勢なの」


「ええー?」


「不本意かい?」


「そりゃそうよ」


「じゃあ、もう少し知ろうとしなさい。その相手が人であっても、この木であってもね」


「どして?」


「表だけを見て判断するってこと。あんたがそうすれば、あんたもそうされるの。それでいいの?」


「いや、それは……」


「でしょ? まあ、いきなり難易度の高い相手でやれなんて言わないよ。まず、このえんじゅから始めればいいじゃない」


「でも、今おばあちゃんに教えてもらっちゃったからなあ」


「何言ってんの。私が言ったのなんか表だけよ」








  花探し腹波打たす夏の蜂







Honey And The Bee by Owl City



てぃくる 324 真珠の花 [てぃくる]



真珠は本当は蕾なんだよ

上手に育てれば素晴らしい花が咲くんだ

どんな花かって?
それは咲かせたあなたが直接確かめて

もし花開かなくても嘆かないでね
真珠はいつまでも真珠だから

咲いても咲かなくても
真珠だから



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ヤブミョウガの花が、今年もどっさり咲いています。
柔らかい光沢のある真珠色の花が薄暗い林内をほのかに照
らし、そこを涼しげな海底に変えます。

唱和するセミの声が、さわさわさわと間断なく落ちてくる
夏の一日。

生きている真珠とともに。






   道果ててその先閑(しずか)薮茗荷







Pearl Rain by Coba





てぃくる 323 雨宿り [てぃくる]



「雨が降ってる間は飛べないよなあ」


「うん。飛べないんじゃなくて、飛ばないんだけどね」

「飛ぼうと思えば飛べるの?」

「飛べるよ。飛びたくないだけ」

「そうだよなあ……。羽濡れちゃうもんね」

「それはいいんだ。行けるところまで行けばいいだけだから」

「ふうん」

「でも、雨の中を飛ぶと、飛ぶことだけで精一杯になっちゃう」

「うん」

「飛んでて、楽しくないんだ」

「それでも、飛ばないとならないことがあるの?」

「ある。だから、飛ばなくていいなら飛びたくない」

「うん」

「こうしている間は、どこにどうやって飛ぼうか、考えられるからね」

「あはは。そっかあ」




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ホスタの花の中。
いるかいないか分からないくらいの小さな虫が、ずっと雨宿りしていました。

でも、もう雨は上がっています。
花も水滴を落とし、顔を上げました。

それでも。
その小さな虫にとっては、まだ雨降りなのです。

……まだ。雨降りなのです。






  梅雨明けて最後の雫どこにある








Right As Rain by Bela Fleck



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