So-net無料ブログ作成
検索選択

ちょっといっぷく その145 [付記]

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

昨年の十二月から年明け一月にかけての、ほぼ二カ月ちょっ
と。本編の進行を止めて、お休みをちょうだいしました。
その間に、本編のお弁当作りに精を出すつもりだったんです
が、思うようにはかどっていません。(^^;;

それでも数話分のお弁当が作れたので、本編を再開し、少し
先に進めておこうと思います。


           −=*=−


長い休みが挟まったので、休止前のお話を少しだけさらって
おきますね。

三年に上がって早々にいっきと沢渡校長との激しい激突が
あって、クラスも部活もその影響をもろかぶることになりま
した。

昨年お届けしてきた分では、プロジェクトの立て直しや風紀
委員会の舵取りに奔走するいっきが、徐々に自分の受験モー
ドに戻っていく過程を見ていただきました。

親や先生からしてみれば、筋が通っている限り決まり事を
ちゃんと守る理詰めのいっきは、とても制御しやすいはずな
んです。
問題は、その筋が現実ではなかなか通らないってことなんで
すよ。(^^;;

中学までのいっきは、理屈なんか通用しない理不尽ないじめ
と、それをきちんと制御してくれない大人のダブルスタン
ダードのダメージを食らって、強烈な人間不信の塊になって
いました。

ぽんいち入学後は、大野先生や安楽校長のように器の大きな
指導者に恵まれたこともあって、ハリネズミのように立てて
いた棘をだいぶ寝かせています。
でも、棘がなくなったわけじゃないんですよね。

大人に対する根強い不信感が、中沢先生やおぎちゃんを徹底
的に叩きのめす形で出てしまいました。

でも。
いっきにも分かってるんですよ。
全てが理屈通りに動くことなんかないって。

そして、これまでいっきのリードに唯々諾々と従ってきた感
のあるしゃらが、いっきが少し下がっただけでのびのびと羽
を伸ばし始めました。

体育祭の時の、しゃらの真っ当な意地の使い方。
いっきはそれを見て、もう一度自分の根幹を見直さないとだ
めだってことを再認識します。

いっきは、決して人を支配したがる性格ではありません。
むしろ逆です。自分が裏方になって相手のいいところを引き
出し、それを通じて自分とつながってもらおうとする性格な
んです。
# 通称、人寄せフェロモン。(^m^)

ですから、自分や自分に近しい人を守るためにきんきんに
尖っていた態度が望ましいとは、決して思っていません。

受験というあまり嬉しくない動機ではありますが、いっきの
意識は少しずつ自分をどうするかという本質の部分に立ち
返っていきます。

二年生の夏の時みたいに猛烈な不安感がぶり返さないのは、
それだけいっきの意識の軸がしっかりしてきたということで
しょう。

でも、不安感が完全に消えたわけではありません。
なんとなくもやもやとした気持ちを抱えながら、それでも受
験生の日々は消化されていきます。

後輩へのプロジェクトの受け渡しも、部長の鈴木さんへのピ
ンポイントフォローを交えながら進んでいます。
いっきもしゃらも、引き継ぎが順調過ぎて一抹の寂しさを覚
えますが、こればかりはしょうがありません。

寝太郎やてんくの窮状。長岡さんのお兄さんのトラブル。ク
ラスの曲者たちとの確執。
いっきが気になることはぽつぽつあるんですが、これまでと
違って自分を削ってまで突っ込む余裕がありません。
少しだけ心の痛みを刻み込みながら、それでも日々は過ぎて
いきます。

いっきだけでなく準主役であるしゃらも、実家の店と家を建
て替えるという方針が決まって、待ったなしの状況になりま
した。

目の前に迫り来る変化を、逆に活かそう。
変化に背を押されるようにして、中沢先生がかんちゃんとの
心理的距離を一気に縮める決断をしました。

いろいろなことが、戻れない形で動いていきます。

一学期のメインイベントである体育祭を楽しんだいっきたち
は、その後すぐに受験に傾注していくようになります。


           −=*=−


そして、これからのお話。

三年生編の序盤にとんでもない大アクシデントがあった分、
そのインパクトが収まりつつある中盤は、中だるみになるは
ずなんですが……。

これからお届けする中盤には、大きなアクシデントがいくつ
か組み込まれています。
沢渡校長の暴挙には、友人を組織することで対抗したいっき
ですが、これから襲い来るアクシデントにはその手が使えま
せん。

というか、いっき自身がそれにどう対処していいのか分から
ない……極めて微妙なアクシデントになります。

ちなみに、アクシデントを唐突に持ち出すわけではなく、伏
線はずうっと前から張ってあります。(^m^)
それが何かを想像してみるのも楽しいかもしれません。
# いっきはとても楽しめないと思いますが。(^^;;


           −=*=−


第46話と第47話。
まずその二話で、いっきとしゃらを襲うアクシデントをぽん
と開帳いたします。
いろいろな仕込みが入っていますので、いっきの思考整理の
過程をよーく覚えておいてください。



ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽に
コメントしてくださいませ。

でわでわ。(^^)/



sdn.jpg



わたしはモノクロではない
色はある

もしわたしがモノクロに見えるのなら
それは君が色を失っているからだ




散り残ったセンダンの葉。
まだ緑を残したまま散り敷く様子も、呆然という感じで哀れですが。
こうして残され、影だけが残るのもまた……どこか哀れですね。

 


てぃくる 296 べろ [てぃくる]



あんた、俺を騙そうとしただろう?
俺があんたを騙すんだよ

俺は舌は出すけど
そいつで音は出さねえよ

騙し合いは
舌打ちした方が負けなのさ

後ろを向いて
こっそり舌を出す

俺が背中を見せたこと
それであんたが勝ったと思ってくれりゃ

それでおしまいさ
あんたがね


kin.jpg



舌は。
感情を表す器官の中では、唯一普段隠されていて見えないものです。
それを出して見せつけること。

侮蔑の方法としてはもっとも強烈かもしれません。

でも、こっそり出す舌と堂々と相手に見せる舌では、意味が全く違いますね。

自らの力を誇示し、相手にそれを見せつけるハカの舌。
ごついです。(^^;;






  寒垢離や舌で丸める鬼の言







オールブラックスのハカ。舌にご注目を。






Tongue Tied  by Emily Portman

 

 


てぃくる 295 呼び鈴 [てぃくる]


かさかさと
ちっとも響かない呼び鈴の紐を揺らす

誰かがわたしを
迎え入れてくれるわけではない

でも
わたしはこっそり期待する

こうして呼び鈴を鳴らせば
誰かが気付いてくれるかもしれないと

わたしを
迎え入れてくれるかもしれないと



ben.jpg

(ベニバナボロギク)




「どなたかな?」

「わたしです」

「間に合っておる」

「そうですか……」

ぱたん



−=*=−


わたしの目の前で
扉は無情に閉ざされた

それでも
わたしは呼び鈴の紐を振る

誰か
わたしに気付いてくれますようにと




ben2.jpg






  光芒の房握りしめ鈴を振る







Jacob’s Ladder by Rush






カクヨムをプラットフォームにして行われていた『あなたの街の物語』(通称『街コン』)で、拙作『松風』が入選しました。

ご興味のある方は、本館のブログカクヨムの特設サイトをご覧になってくださるとうれしいです。(^^)



 


てぃくる 294 ひめごと [てぃくる]


全てのものには多面性がある。
もちろん、元々脆い言葉がその枷から逃れることは決して出来ない。

使われた言葉は、その多面性ゆえにしばしば軌道を外れて暴走し、時に喜劇を時に悲劇をもたらす。
言葉は言葉に過ぎず、それ自体には何の咎もないのだが。




hime.jpg

(ヒメジョオン)



秘め事はどこか奥ゆかしいけど、姫事はどうにもエロい。

換金してもいいけど、監禁してはいけない。

工作はお手の物だけど、耕作はお手上げだ。

匙で飯を食えるけど、些事で飯は食えない。

近縁は心強いけど、禁煙は心もとない。

晴れるとすっきりだけど、腫れるとずっきんだ。

耐えるのはまだ手伝えるけど、絶えるともう手伝えなくなる。

持ち上げるのはアレだけど、餅揚げるとあられになる。

復習はいくらしてもいいけど、復讐はするだけ無駄。

乾杯は景気いいけど、完敗は不景気そのもの。

断交を考えるのはいいけど、断行するのはよく考えた方がいい。

才媛はモテるけど、菜園では持てるだけね。

辛抱が足りないと言われるけど、心棒がないから……。

苦楽を共にするのはいいけど、暗くなる友にするのはダメよ。

不敗は誇らしいけど、腐敗して埃まみれだ。

別称で呼ぶのはいかすけど、蔑称を叫ぶのはいけずだ。

魚は捌くけど、人を裁くのは無理。

桜は雅だけど、サクラは嫌味だ。




脱稿したら出版社へゴー!

脱肛したら肛門科へゴー!





(^^;;







  雪松に待ち人おらず閑か也









I Come From Nowhere by Frank Zappa

放題……いや砲台……いやいや邦題は。

『ア、いかん、風呂むせて脳わやや』

(^m^)

 


てぃくる 293 覗き [てぃくる]



sd.jpg




「こら! 何覗いてやがるっ!」

「見りゃあ分かるだろうがよ。俺が女の着替えを覗いてるよ
うに見えるか?」

「見えるわ! 目ぇ細めて嬉しそうな顔で覗きやがって!」

「目ぇ細めてるのは、眩しいからだ。嬉しそうなのは、お天
道さん拝んでるからだよ」

「よだれ垂らしてるのは、なんだ!?」

「ガム噛んでるからだって」

「カメラ持ってるだろうが!」

「ご来光を撮るんだよ」

「その足台はなんだ!?」

「きれいに撮るのに、塀が邪魔なんだよ」

「薮背負って迷彩にしてるのは!?」





あんたにバレないようにするためだよ



(^^;;






覗きは犯罪です。
でも分厚い薮をくぐり抜ける夕日を撮ったところで、誰も覗
きだと文句は言わないでしょう。

きれいに撮れるかどうかは、また別の話ですが。(^m^)






  おーけーの輪の中覗く冬競馬








The Peeper by Eric Clapton

 

 


てぃくる 292 ことわざ木っ端微塵 [てぃくる]


ことわざ。
史実などを元にして、処世訓を分かりやすく表したもの。
……の、はずなんですが。

そりゃあ、何千年か前の出来事を雛形にしたんじゃ、経年劣
化しますがな。
分かんない、理解できない方がむしろ当たり前です。

処世訓としての中身やその価値が、時代と共に変化しますか
らねえ。ことわざイコール生き方の最大公約数では、必ずし
もありません。はい。

ということで。
定番のことわざが、とんでもないことになっているようです。
どれどれ……。



spl.jpg



画竜点睛を欠く
「我流で先生を描く」

天網恢恢疎にして漏らさず
「天丼蟹缶ソースにしてもらった」

紺屋の白袴
「今夜の勝負パンツ」

待てば海路の日和あり
「待て、バカ! 色の火より愛!」

亀の甲より年の劫
「彼の子よりトシの子」


馬の耳に念仏
「ママの耳にぶつぶつ」

門前の小僧習わぬ経を読む
「儲ける小僧寿司なら今日を読む」

まず隗より始めよ
「まずい貝料理はだめよ」

旅の恥はかき捨て
「耽美の味はかき揚げ」

羹に懲りて膾を吹く
「夏物に凝って生足を拭く」

衣食足りて礼節を知る
「一食足りんくて冷麺の汁」

三尺去って師の影を踏まず
「三者腐って死の影を踏むとまずい」


朱に交われば赤くなる
「朱肉マジあれは赤くなる」

李下に冠を正さず
「理科二科目は無理。ヲタだけっす」

人間万事塞翁が馬
「人参棒々鶏最後が旨煮」

転石苔を生ぜず
「全盛期、コロッケが生ジャズ」


九仞の功を一簣に虧く
「求人の子を一気に欠く」

水清ければ魚棲まず
「水樹良ければ、お勧めはまず……」

女三界に家なし
「オーナー三回言えなっしー」


鶏口となるも牛後となる勿れ
「恵子、盗るもん。午後隣になる彼」

鰯の頭も信心から
「いい。わたしのタマも新人だから」

悪事千里を走る
「ジャグジー、銭湯に入る」

三つ子の魂百まで
「美津子の騙しは悪魔だ」

艱難汝を玉にす
「かなん。何時かたまにスルー」

一を聞いて十を知る
「位置を聞いて、自由を知る」




beg.jpg

(センパーベゴ)



赤貧洗うが如し
「赤ふん洗うが臭い」








  間違いが認められると間違えて
    間違うやつと間違わすやつ










The Wrong Direction by Passenger

 


てぃくる 291 銀箔 [てぃくる]


降り残った雨が
最後に
わたしに銀の箔を置く

わたしは飾られなくていい
そのままにしておいてよ
不満を口にしたら

箔は剥がれて
わたしはわたしに
戻った

それはほんのひと時
わたしがわたしである間の
ささいな出来事





kksd.jpg






  雨止んで散り敷く冬陽箔のごと







Paper Thin by Astrid S

 

 


てぃくる 290 口 [てぃくる]



ym.jpg

(ヤマノイモの莢果)



ええと。
カタカナのロではありません。
丸三角四角の四角ではありません。

食べ物飲み物を取り入れ、代わりに何かを吐き出す。
そう口です。

口一つってのは寂しいじゃないですか。
だからもう一つのっけて、『日』。
そんな日常がいいですよね。

ただ、それ以上増えるとだんだん雑駁になってきます。
お下劣にならないためには、きれいに並べる『品』が要りま
すね。

もっと増えると、無節操に散らかります。
それを収納する大きな『器』があるといいですね。


           −=*=−


口にする。
覚悟が要ります。入れるにしても、出すにしてもね。
毒も薬もありますから。

口が重い。口が軽い。
口の重さをどうやって測ったんでしょうね。
口だけを秤に載せるのは難しいと思うんですが。

口が堅い。
自分でそう言う人ほど、油切れで顎の蝶番がばかになって
いたりします。

口寂しい。
そう思っているのは口じゃなくて、胃袋です。
うそついちゃいけません。

口惜しい。
そう思っているのは口ではなく、脳みそです。
うそついちゃいけません。

ええ、そうですね。
口はあなたの代理人です。
あなたが思っていること、感じていることをそのまま発し
ます。決して勝手に口走ることはありません。

だって、口には足なんかありませんから。



sb.jpg




口を開くと。
何かいいことがあるんでしょうか?

口を割ると。
何かいいことがあるんでしょうか?

分かりません。
口を閉ざして、しばし考えます。
なんで悪口はあるのに良口はないんだろうって。






  口を縫う吹雪の夜に独り酒









Word Of Mouth by Mike And The Mechanics

 


ちょっといっぷく その144 [付記]

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

年明け後、最初のいっぷく。
まだしばらくはてぃくるでしのぎますが、今年のだいたいの
計画などを書き置いておこうと思います。
# メモ代わり。(^^;;


           −=*=−


現在三年生編の第四十五話まで進んでいますが、今年は夏休
みの中盤、いっきの夏期講習終了くらいまでをめどにアップ
する予定です。

話数で言うと三十話ほど。そこまではすでに書き上がってい
ます。でもその先のお弁当部分を書き進めないとすぐ工事中
になってしまいますので、お弁当作りの進行具合を調整しな
がら少しずつアップしてまいります。


           −=*=−


内容についても少しだけ触れておきますね。

今年アップしていく部分では、のっけからいっきやしゃらの
日常を揺るがす大事件が起こります。
まず二人がその大波をどう乗り切るか。

その事件の余波で、いっきだけでなくしゃらにとっても厳し
い日々が続きます。
アクシデントは中盤以降の全てに影響してきますが、それは
生活面だけでなく、いっきやしゃらの意識にも大きな影響を
及ぼします。
これまで以上に内省的でうっとうしい展開になるかもしれま
せんが、どうかご容赦ください。

二人が描く自分たちの未来像。
そこには夢や希望だけではなく、苦い現実をしっかり組み入
れなければなりません。
そのためには、まず自分の意思をきっちり固めること、外か
ら加わる力で自分たちがすぐぐらつかないことが大事なんで
すよね。

二人は、必死に訓練に取り組むことになります。


           −=*=−


もう一つの軸になるもの。
もちろん、いっきやしゃらを取り巻く人たちの動向ですね。

今年アップする部分では、準主役のあの人についに春がやっ
て来ます。それとベビーラッシュの先陣を切って、五条さん
とタカの子供が生まれます。お楽しみに。(^m^)

後輩たちに運営権限が移されたプロジェクトでも、喜ばしい
出来事が起こります。

運不運のバランスで行けば、いっきとしゃらにはいいことの
方が多く起こるんですよ。ただ、序盤のアクシデントがいい
ことを全部台無しにしかねないほどでかいんです。(^^;;

大きな波が押し寄せてきた時には、それを乗り切らないこと
には明日が来ません。必死に明日を模索する間に、二人には
しっかり心の筋肉がついていきます。
それを、どうか見守ってあげてください。


           −=*=−


今年もスローペースの進行になりますが、ゆっくりお付き合
いいただければ幸いです。



ご意見、ご感想、お気づきの点などございましたら、気軽に
コメントしてくださいませ。

でわでわ。(^^)/



ntn.jpg
(ナンテン)



降っても晴れても

赤い実は赤い

濡れても乾いても

赤い実は赤い

それは

いいことでも、面倒臭いことでもあると思う

 


てぃくる 289 心とのこぎり [てぃくる]



sda.jpg



用心の真ん中を切る。
用だけが残って心を失ったわ。

心配の真ん中を切る。
配れるほど心がもう残っていない。

関心の真ん中を切る。
関わる動機が心にはないのね。

心外の真ん中を切る。
心の外にあったのになぜ怒るの?

無心の真ん中を切る。
心は無くても何かよこせというあなた。

心境の真ん中を切る。
心には国境がないはずなのにね。

童心の真ん中を切る。
児童の心を踏みにじる人たち。

心痛の真ん中を切る。
痛みを覚えるから解る心があるのよ。

感心の真ん中を切る。
何も感じなくなった後も残る心は何?

心底の真ん中を切る。
底まで届かずに使い捨てられる心。







形のない心は
のこぎりでは切り分けられない

でも心ない人ほど
のこぎりで心を切り断とうとする








  鋸屑の匂う間も無し寒冴える








Pieces Of Our Heart  by All About Eve