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三年生編 第62話(8) [小説]

はあ……。

「助かりますー」

「これまでずっと問題行動を繰り返してたっていうならとも
かく、ここに来ての急なエスカレートなら、一時的に精神の
バランスを崩したってことでしょ。カウンセリングで立て直
せると思うけどね」

「そうか」

「でも、安易な素人判断は出来ないの。そこはプロに任せる
しかない」

「はい。でも」

「うん?」

「治療が終わったら、またうちのクラスに戻ってくるんで
しょうか?」

「そこは、校長先生の判断になるわね。つきまといの対象に
してた子が同じクラスにいて、症状が再発する恐れがあるな
ら、クラスを移すか転校を勧めるという処置を選択するかも
しれない」

そこはまだ見通しが立てられないってことか。でも、僕らに
直接対応出来ることじゃないから、しょうがないよね。

「でもそれ以前に」

「はい」

「みんなから白い目で見られていた子が、その環境に戻りた
いと思うかしら?」

「あ、そうか」

「まあ、そこは彼の父親とも相談てことね」

「大丈夫なんですか?」

「わたしは育休に入るから対応出来ない。長友さんが、そっ
ち系は百戦錬磨だからね」

「あっ! なるほどー」

「彼にも将来がある。だから、今回の件はオフにしといてね。
わたしたちが勝手に彼の未来を狭めることは出来ないから」

「分かりました」

「ふう。これで安心して出産に臨めるわ」

「ありがとうございます!」

「いやいや。みずほもやっと年貢を納めたみたいだし、落ち
着くとこに落ち着いてくでしょ」

「あはは。中沢先生からは何か報告があったんですか?」

「そっけないメールが一本だけよ。入籍したって」

いかにも中沢先生らしいなあ。まあ、これまでがりがり削り
合いやってたライバル同士だし。そんなもんなのかも。

「それでも、しょうもないびびりのあいつにとって、わたし
や大野さんに決断を知らせるのがどんなに重荷だったかは分
かるよ。だから結果報告だけで充分」

にゃあにがびびりだ。タカに自力で告白できなくて、げっそ
りやせこけちゃった純情ママプリンが。よー言うわ。
どれ、しっかり突っ込んどこう。

「そうですよね。でも」

「なに?」

「やっぱ、夫婦って似た者同士になるんですかねえ」

「どういう意味?」

「だって、五条さんのとこは歩く核弾頭と狂犬の組み合わせ。
中沢先生のとこはどう見てもひっそり隠花植物のコンビ」

「ごるああああっ! 誰が狂犬だああっ!」

「ほらほら、そんなにいきんだら産気づいちゃいますよ」

「ぐむむ……くそう、覚えてやがれ」

ぐひひひひっ。




cripow.jpg
今日の花:クリヌム・パウエリーCrinum x powellii



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JUNKO

どこのお国の花ですか、名前がなかなか言いにくいです。
by JUNKO (2017-07-19 17:00) 

水円 岳

>JUNKOさん

コメントありがとうございます。(^^)

ハマユウの仲間で、交配種になります。ハマユウよりは
ややユリっぽい草姿になりますね。造形のはっきりした
花で、わたしのお気に入りです。(^^)

by 水円 岳 (2017-07-20 23:16) 

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