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二年生編 第149話(2) [小説]

空にした丼の前でお腹を叩いてたら、実生の声がした。

「お兄ちゃん。帰ってきてたの?」

「あ、実生。おまいの分は作ってねーぞ?」

「わたしはもう食べたから」

「そっか。試験はどうだった?」

「ぶー……」

表情が曇った。
今いち、か。

「なかなかなー」

「まあ、期末試験が本番てわけじゃないからさ」

「そうだけど、内申点に響くから……」

確かになあ。

「でも、結局ものを言うのは本番だよ。そこをとちらなきゃ
なんとかなるよ」

「うん」

さて、しゃらが来る前に食器を片付けないと。
僕が丼を持ってキッチンに行こうと立ち上がったら、玄関が
賑やかになった。

「ふうーっ!」

ばさばさっとコートを脱ぐ音がして、母さんがゆっくりリビ
ングに入ってきた。

「あれー? 母さん、今日はパートじゃなかったん?」

「ああ、今日はシフトから外してもらったの」

「え? 何かあったん?」

「二中の父兄懇談会。懇談会っていうより受験説明会ね」

「あ、いよいよかあ」

「そう。親子面談は来週なんだけどね。その前に、今の高校
側の状況を説明しておこうってことなんでしょ」

「へえー……」

「わたしは、そういうのはあんまり関心なかったんだけど、
行っといてよかったわ」

「なんかあったん?」

実生も不安そうな顔で身を乗り出してきた。

「来年、激しく動くわ。びっくりよ」

「えええっ!?」

思わず、実生と二人でのけぞる。

「まずね」

「うん」

ごくり。

「市商と市工」

「うん」

「来年から共学になる」

どっひゃあああああっ!
実生と二人して、思わずぶっ飛ぶ。

「ぐえー!」

「前からあった話らしいけど、いよいよ本格的に市内の高校
を再編するみたい」

「うわ……」

「それでね」

「うん」

「学校名が変わる。市商も市工も、普通校に鞍替えね。市商
が田貫紫水(しすい)、市工が田貫光嶺(こうれい)」

うわお!

「かっけーっ!」

「建物が変わるわけじゃないから、せめて名前だけでもって
感じだよね」

市内には公立の男子校、女子高がなくなるってことか。

「そっかあ……。でも、なんかずいぶんいきなりのアナウン
スなんだね。普通は、実施の一年くらい前に発表するんじゃ
ないの?」

「まあ、そうだよね。でも、オトナの事情があったみたいよ」

「オトナの事情ー!?」

「そう。汚職事件で辞職した前の市長が、県の教育長上がり
だったでしょ?」

「うん」

「そいつが、意地で止めてたみたいよ。俺の目の黒いうちは
絶対そんなことはさせんつーて」

げえ……。

「高校再編になると、校長や教員の配置が大幅に変わるで
しょ? 自分の影響力が低下するからって許さなかったみた
いね」

「へえー。でも、市長の辞職って、去年でしょ?」

「まだ、その残党が残ってたってことじゃないの?」

「そっかあ……」

「そのお掃除が終わったから、またごちゃごちゃ揉めないう
ちにやってしまおうってことなんでしょ」

「また、微妙なタイミングで」

「そう。まだあるのよ」

「へ?」

「五葉南、ゴナンね」

「うん」

「廃校」

あごが外れるかと思うくらい、口あんぐりしちゃったよ。

 


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コメント 4

風来鶏

私の母校ではありませんが、地元のO高と隣町のY高が統合されるという話が出た時、OB・OG達が揉めたようです^^;)
by 風来鶏 (2014-03-14 18:47) 

水円 岳

>風来鶏さん

コメントありがとうございます。(^^)

少子化の流れもあって、統廃合される学校が出て
しまうのは仕方ないのかもしれませんが、在校生が
とばっちりを食ってしまうのが……ね。(^^;;

by 水円 岳 (2014-03-15 21:57) 

ちゅんちゅんちゅん

こんにちは!
戻りました。
またよろしくお願いいたしまする~(^^)
by ちゅんちゅんちゅん (2014-04-19 10:06) 

水円 岳

>ちゅんちゅんちゅんさん

お帰りなさーい。
またよろしくですー。(^^)/

by 水円 岳 (2014-04-19 12:24) 

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